2009年4月 1日 (水)

ちょっとお借りします

Cut_134_2  江戸小話です。金持ちの旦那が、井戸屋に井戸を掘らせていました。ところが、掘っても掘っても中々水が出てきません。旦那はあきらめず、金をはずんでどんどん掘らせていました。ある日のことです。井戸の中の井戸掘りが、びっくりするほど大きな声で、「大変だ!。早く引き上げてくれーい!。」と井戸の底からさけびました。「何だ!。何だと!。引き上げてくれだとぉー?。」「おい、ひょっとしたら、金でも掘り当てたのかもしれないぞ!。」「きっとそうにちがいない。」仲間の井戸堀り達が、胸をわくわくさせながら、大急ぎで綱を引き上げました。中から出てきた井戸堀りは、ホッとした顔で「旦那様。ちょっと便所をお借りします。」  おしまい

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2009年2月18日 (水)

小男の願い

Cut_555  江戸小話です。生まれつき背の低い男がいました。男は朝晩、神棚に向かってお願いをしていました。「どうか神様、私の願いを叶えてください。何とぞ背が高くなりますように・・・」、と熱心にお祈りをしていました。ある日のこと、夢の中に神様が現れれて「おぅおぅかわいそうに。お前の望みを叶えてやろう。ご飯を一升、お餅を一升食べて、酒をひと樽飲んで、そのまま眠るがよい。目が覚めた時体がだるく感じるから、その時、上下に伸びをするのじゃ。お前の背は、必ず布団の長さまで伸びておるぞー。」と厳かに言いました。そこでぱっと目が覚めました。「おお、有難いお告げだ。感謝感謝。早速やってみよう。」男は、お告げのとおり、一升飯を食べ、一升餅を食べ、ひと樽の酒を飲み、ぐでんぐでんに酔っぱらって、そのまま眠ってしまいました。目が覚めてみるとお告げのとおり体中がだるい。これはしめた。喜んで、ぐぐっと伸びをしました。「有難や、有難や、これで願いが叶ったぞぉ。」「よぉし、立ってみよう。あれーっ?。前よりもかなり背が低くなっているぞぉ。どうしたことだろう・・・。ああっ!しまったぁ。そのまんま、座布団に寝てしまったぁ。」    おしまい

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2008年11月22日 (土)

忘れ物の名人達

Cut_508_2  江戸小話です。物忘れをする旦那達が集まった時のことです。「お互いに、忘れたことを思い出し合えるように、毎月 日を決めて会を開こう。」「うーん、それはいい考えだ。早速最初の集まりを明後日の22日の晩にしよう。」と言うことになりました。「第1回目の会場は金兵衛さんの家がいい。」賛成ー。と言うことで会はお開きなりました。さーて、いよいよ、その日が来ました。金兵衛さんの家では、朝早くから座敷を奇麗に掃除をして、御馳走を作って、皆が来るのを首を長くして待っていました。ところが誰一人現れません。「おっそいなぁー!。いったい皆何をしているんだろう。」いらいらして、金兵衛さんは番頭を呼び付けました。「全くぅー。皆しょうがない人達だ。22日の約束を忘れているのかも知れない。番頭さん、一回りして呼んできておくれ。」すると番頭が恐るおそる「あのー。旦那さま、今日は23日でございます。」   おしまい

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2008年7月15日 (火)

無理な願い

Cut_057  江戸小話です。美人とは縁遠い、とってもブスな女が住んでいました。ある日女は亭主の浮気が元で、ポックリ死んでしまいました。三途の川を渡った女は地獄の鬼に閻魔大王のところへ連れて行かれました。女は「閻魔様、お願いです。私を幽霊にしてシャバに戻して下さい。憎い亭主にたたってやらなければ、死んでも死にきれません!。」 それを聞くと閻魔大王は、「しっかしなあ、昔から幽霊は美人がなるものと決まっておるじゃろう。気持ちは分かるが、その顔ではなぁー。とても無理だ。」 「えっ。」女はすっかり落ち込んでしまいました。気の毒に思った鬼達が、女に耳打ちをしました。「おい、幽霊ではなく、化け物にしてもらえ。化け物に。」 それを聞いた閻魔大王は、「よし、化け物としてなら、そちの願いをかなえてやろう。」 「有難うございます。本当ですか?。この際何でもかまいません。いえ、どうせならものすごい顔の化け物にして下さい。亭主がビビリ上がるような顔に。」 「よし、任せておけ。すっごい顔の化け物にしてやろう。」 「それでは行くぞー。えぇーい!」 閻魔大王の気合いとともに、女は自分の家に帰っていました。「よーし、積年の恨みをはらすぞー。亭主に!。」 「しかし、どんな顔の化け物になったんだろう?。」 女が気になり鏡に自分の顔を写して見ました。「ギャー。今まで通りの顔だぁー。」   おしまい

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2008年1月31日 (木)

貧乏神

Kojiki_2  江戸小話です。貧乏な男が住んでおりました。大変働き者なのですが一向に貧乏から抜け出せません。逆に年ごとに貧乏になるばかりです。「働いても働いても益々貧乏になってしまう。どうしてかなぁー。ウーン。さては!この家に貧乏神がいるな。そうだ。貧乏神に御馳走をしよう。そうすれば、少しは貧乏でなくなるかも知れない。」と、男は自分の食べる分も食べずに、貧乏神のところに御馳走を差し出し続けました。 ところが、男は前にも増して、益々貧乏になるばかりです。とうとう腹を立てた男は、「これ、貧乏神よ。こんなに御馳走するのに、何が不満で、益々貧乏にするんだぁ。」と、大声で怒鳴りました。襖の間から顔を出した貧乏神は小さな声で、「あまり居心地がよいので、女房や子供たちも連れてきた。」  おしまい。

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2007年9月14日 (金)

法話

Cut_473_3  江戸小話です。昔昔、ある村に、大そう偉いと評判のお坊様がいました。お坊様は村人達のために、毎月一回、寺で法話の会を開いていました。それは難しいお話でしたが、村人達は、偉いお坊様のお話なので皆有り難がって集まりました。ある朝、お坊様は久し振りに外の空気がすいたくなって、散歩に出かけました。村の小道をてくてく歩いていると、向こうから馬子の茂一がやって来ます。ところがどう言う訳か、茂一はえらく疲れた様子で、ぼんやりしています。「これこれ、茂一、どこぞ具合でも悪いのか。」と心配してお坊様が声をかけました。茂一は、「お坊様、昨日のお坊様のお話で、夜眠れずにほんとうに困りました。」と言いました。それを聞いたお坊様は、自分の話が馬子にも、眠れぬほどの感動を与えたのかと思いそれは喜びました。「そうか、それは悪いことをしてしまったな。で、いったい一晩、何を考えておったのじゃ。」 すると茂一は、「昨日のお坊様のお話の時、いい気持ちで眠ってしまいました。昼あれだけ寝たものだから、夜眠れませんでした。」・・・  おしまい

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2007年7月26日 (木)

かみなり

Cls020_2  梅雨が明けて雷雨の季節がやってきました。昔から、雷が鳴ると、雷様に、ヘソを取られると言います。江戸小話です。空が急に真っ暗になって、「ゴロゴロゴローッ ドッドカーン・・・」。どうやらすぐそばに雷が落ちたようです。「くわばら、くわばら、」親父は恐ろしくて、部屋の中で手を合わせて拝んでいました。少しすると、静かになってきました。外で何やらバシャバシャ音がします。何だろう。おそるおそる、そーっと障子を開けて音の方を見てみると、雷様が前の池で一生懸命、手を洗っています。親父が不思議に思って「雷様、いったいそこで何をしておいでですか?」と、聞くと、雷様は、「年のせいか、手元が狂ってしまった。全くいまいましい!。あそこで今、へそを掴み損ねて、尻を掴んでしまった。手にうんちがべっとり付いたんだぁ!。ああぁ、汚い。」 おしまい

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2007年4月 6日 (金)

立てば出ます

Cut_119  江戸小話です。あるお侍が、使いの途中で、便所に行きたくなりました。でも、我慢して一心に歩き両国までやってきました。両国まで来れば、何処かで用が足せるだろうと思って、あちこち便所を探しましたが見つかりません。ふと、橋のそばを見ると、菜っ葉売りが、青い顔をして座っていました。侍が駆け寄り、「この辺に、便所はありませんか」と、聞きました。菜っ葉売りは青い顔で、「私も探していますが、有りません」と、答えました。「お前も便所を探しているのか。・・・ しかし、探しているのなら、どうしてそこにしゃがんでいるのだ!」 菜っ葉売りは、苦しそうな顔をして「立てばぁっ、・・・ 出ますっぅぅぅ!」  おしまい

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2007年3月 2日 (金)

鉄瓶

Cut_564  江戸小話です。春の日の昼下がり。ある家に、古道具屋が来て、ガラクタ道具を見繕っていました。ところが、この古道具屋。昼寝をしている親父の頭をやかんと間違えてしまいました。「これも売ってください。」と言って値段票を親父の頭に貼り付けました。親父はびっくりして目を覚ましました。「バカヤロウ!。俺の頭をやかんと間違えるとは何事だぁ。帰れぇ!。」 親父はカンカンに怒って古道具屋を追い帰しました。「全くしょうがないやつだ。そうだ!、頭に墨を塗っておこう。これで安心だ。こうしておけば、やかんには間違えないだろう。」 と言って親父は頭に墨を塗って、再び昼寝を始めました。しばらくすると、そこへ、別の古道具屋が来て、「今日はー。おっ、鉄瓶がある。この鉄瓶を売ってください。」  おしまい

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2007年2月 8日 (木)

まぬけな文吉

Jab003  江戸小話です。旦那の言付けで、文吉が小川に竹竿を洗いに行きました。ところが、何時まで経っても帰って来ません。旦那が心配して様子を見にいきました。小川のそばで様子を見ていると、文吉は竹竿を川に浮かべて手元ばかり洗っています。「文、文吉!。何時まで同じところを洗っているのだ!。先の方はススだらけではないか!。手元の方ばかり洗っていないで、先の方を洗うのだ!。」見かねて旦那が叱りつけました。とっとたんに、文吉は、ドギマギしながら、「旦那さまぁ。あのあたりはとても深くて、中に入って行くのは無理でございます。」

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2007年1月18日 (木)

貧乏医者

Gennai_cover  江戸小話です。ある日のこと、医者がガックリ肩を落として、とぼとぼ歩いていました。「先生。どうなさいました。どこか具合でも悪いのでは。」と、通りがかりの町人が声をかけました。医者は残念そうな顔をして、「いや、そうではない。実は、病人を三人もなくしてしまった。残念だぁ。」「えっ、三人も死んでしまったのですか。それは大変だぁ。」「そうではない。三人とも、病気が治ってしまったのだ。」「・・・? それはお目出度いことでは?」「いや。私は、また明日から食べる金にも不自由することになった。悲しくてなぁ。」  おしまい

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2006年12月25日 (月)

柿泥棒

Cut_253  江戸小話です。ある秋の闇夜に貧しい夫婦が、コソコソ話をしています。「今夜は、まっ暗闇だから、隣の柿を盗みに行こう。」「それでは俺が木に登って、棒で柿をたたき落とすから、お前は下で拾ってくれ。」相談がまとまり、早速亭主が木に登り、棒でたたくと、柿はゴロゴロ落ちてきます。下で拾い役の女房は、あわてて拾い始めました。あまりあわてたので側にあった深いドブの中に落ちてしまいました。どうもがいても上がれません。「亭主どん、落ちた、落ちた。」ドブに落ちた女房が小声で騒ぐと、「落ちるはずだよ、たたいているのだから。」「落ちたのよ、落ちてしまったのよ。」「当たり前だ。早く拾え!」「違う、違う、ドブに落ちたのよ!」すると、木の上の亭主は、「ドブ?。そこにあるのは肥溜めだ。そんなところに落ちたのは、汚いから、捨てておけ!。」  おしまい  (肥溜めとは昔、肥料にする糞尿「ウンチ・オシッコ」を、醗酵させるために設置してあった野壺のことで、ひどい臭いがします。)

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2006年12月 8日 (金)

大事なお手本

Cut_592_1  江戸小話です。ある町に、鬼瓦を焼いている職人がいました。この職人の家の遠くないところに、一人の娘さんが住んでいました。ところが、この娘さん、ちょっとした病気がもとで、ポックリ死んでしまいました。瓦焼きの職人が、娘さんの家に行って、人一倍悲しそうな顔をして、泣き悲しんでいました。それを見て、娘さんの父親が、ふしぎに思い、「どこのお方か存じませんが、どうしてそんなに悲しんでくださるのですか?。もしや、娘といい仲だったのでは?」と、尋ねました。すると瓦焼き職人は、くやしそうな顔をして、「実は、私の大事な鬼瓦の手本がなくなってしまったのです。」  おしまい

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2006年11月25日 (土)

黒が危ない

Cut_697  江戸小話です。碁を打つのを男が側で見ていました。そうしていると男が、ご隠居さんの側に擦り寄って、「黒が危ない。」と、小声で言いました。「なにぃ。黒が危ないだと?。そうかなぁー?。待てよぉー。相手が、こう攻めてくれば、こう止めればいい。こう攻めてくれば、こう防げばいい。なぁーんだ、ちっとも危なくないではないか。」と、ご隠居さんは言い返しました。それでも男が、「いやいや、やっぱり危ない。」「いや、危なくない。」「いや、危ない。」あんまりしつこいので、ご隠居さん、とうとう怒り出してしまいました。「ほんと、しつこいなぁ。いったいどこが危ないのだ!。」と、いいますと、「ほれ、左の端の黒が、今にも下に落っこちそうだ。」  おしまい

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2006年11月14日 (火)

Cut_597  江戸小話です。「おやっ。財布が落ちている。これは、うれしい。」八つぁんは、周りを見渡し、さっと懐にねじ込みました。小走りで家に帰り、開けてみると、なっ、なんと、百両(7百万円)もの大金が入っています。「これは大変だ。誰かに見られたらまずい。どうしよう。そうだ、庭に穴を掘って埋めとこう。」早速庭に穴を掘り、百両を埋めて、その上にウンチをしました。「こうしておけば安心だ、あやしむ者は誰もいないだろう。」 とっ。とたん目が覚めました。夢だったのです。「おっ。おしいことをしたなー。夢かー。おやっ。匂う。このお尻の感触は?。ぎゃー。しまったぁー。」 おしまい

 これに似た話に、火事になりそうなので、オシッコで消し止め、安心したら夢だった。(寝ションベンしてしまった)と言う小話があります。江戸小話は江戸古典落語のネタです。古くから語り継がれているもので、私が作ったものではありません。読みやすいよう、現代風にアレンジしたのは私ですが。

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2006年11月 2日 (木)

けちの親子

Mony023  この前に続き、江戸小話です。けちんぼうの親子がいました。ある日、用事があって、二人で田舎に出かけました。行く途中、親父が川に落ちてしまいました。息子はあわてて引き上げようとしました。しかし息子一人の力では上がりません。まごまごしているところへ、お百姓が通りかかりました。「息子さん、百文(三千円)出してくれるなら、私が引き上げてあげよう。」息子は生まれつきけちですから、そのまま頼むわけはありません。「お百姓さん、七十二文にまけて下さいよ。」と、値切ると、「いや、百文でなきゃ、だめ!」「では、七十三文でどうですか。」「いや、百文だ。」互いに譲らず、言い合っていると、川の中で、今にも溺れそうになっている親父が、がぼがぼ水を吐きながら、息子に言いました。「そうだぁ。俺が死んでもいいから、百文は出すな。負けさせろ。」 おしまい

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2006年10月27日 (金)

小話

01kojiki_1  貧乏神に関する江戸小話です。ある夫婦がおりました。良く人の世話もするし、仕事も一生懸命するのですが、どうゆう訳かいつも貧乏でした。女房がえらく心配して、「これは、我が家に貧乏神がいるにちがいない」。と亭主に言いました。亭主も「どうもそうらしい。早速追い出してやろう」。と言うことで、生の杉葉を燃やして、煙をどんどん出し、家の隅々から、縁の下までくすべました。女房は箒や竹の棒で、そこらじゅうをたたいてまわりました。すると何やら汚い物が、土間に転がり落ちてきて、ひっくり返りました。「おっ。貧乏神だ。たたき出せ。」二人で追いかけましたので、さすがの貧乏神もたまらず、外へ逃げ出してしまいました。夫婦はぴたりと戸を閉めて「これで貧乏とはおさらばだ」。と喜んでいますと、トントン、トントン、と戸を叩く音がします。「誰だ」と聞いても、返事がありません。「どなた様で。」と亭主が戸口を細めに開けると、「貧乏神でございます。」亭主はびっくりして、怒鳴りつけました。「断る。もう、この家に入るな!」。すると、貧乏神は涙声で言いました。「長いことお世話になりました。これでお暇致します。後に残した倅どもが10人ほどいますが、どうぞよろしくお願い致します」。 おしまい (イラストは貧乏神です)

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